ザバスとエレンタールの比較
IBD患者同士でよく話題になるのが、「プロテインはエレンタールの代わりになるのか?」。逆に「エレンタールは筋トレに役立つのか?」など。
処方薬であるエレンタールと市販のプロテイン。結局のところ、なにが違うのか?組成で比較することにしました。先日アップした記事では、アミノバイタルとエレンタールをPFCバランス1 で比べましたが、今回はそれに加え、ビタミンの量も確認しておきます。
1日分の栄養成分表
比較対象として取り上げるのは「SAVAS アドバンスト ホエイプロテイン100(ココア味)」、エレンタールは愛媛大附属病院がPDFで公開している採用栄養剤の一覧を参考にしました。
ザバス | ザバス2回分 | エレンタール | エレンタール3本 | |
---|---|---|---|---|
エネルギー | 108kcal | 216kcal | 300kcal | 900kcal |
たんぱく質(P) | 20.0g | 40.0g | 13.1g | 39.4g |
脂質(F) | 1.7g | 3.4g | 0.51g | 1.5g |
炭水化物(C) | 3.1g | 6.2g | 63.4g | 190.2g |
食塩相当量 | 0.31g〜0.80g | 0.6g〜1.60g | 0.66g | 1.98g |
ナイアシン | 4.5g〜13.9g | 9.0g〜27.8g | 2.20g | 6.60g |
ビタミンB1 | 0.67g | 1.34g | 0.15g | 0.45g |
ビタミンB2 | 0.76g | 1.52g | 0.24g | 0.72g |
ビタミンB6 | 0.56g | 1.12g | 0.22g | 0.66g |
ビタミンC | 43g | 86g | 7.8g | 23.4g |
ビタミンD | 12.1μg | 24.2μg | 1.3μg | 3.9μg |
ザバスはスプーン4杯(約28g)分の粉を250mLの水または牛乳に溶かして飲むもので、1日2回くらいの摂取が一般的らしいです。
そして、我らがエレンタール。80gの粉を250mLの水で溶かせば、出来上がりは300mL。濃度は1.0kcal/mLになる計算で、1日3本くらい処方してもらうと、ハーフEDと言って”食事の半分を栄養剤に置き換える食事療法”を実践できます。

比べてわかったこと
ザバス2回分とエレンタール3本分を比較して、わかったことは以下の3つ。
- 1日分のカロリーは圧倒的にエレンタールの方が多い
- エレンタールでも十分たんぱく質が摂れる
- ビタミンの量は大差ない
エレンタールは元々、それだけを飲んでいれば生きていける完全栄養食2 として作られているので、しっかりカロリーを摂ることができます。表にしてみると、カロリーの中身は炭水化物なのですね。ザバス1日分の炭水化物は6.2g、エレンタールは190.2g。
ザバスのようなプロテインはその名の通り、プロテイン(たんぱく質)を摂るのがメインです。もしも、ザバスだけで1日の必要カロリーを摂取しようとすると、たんぱく質過多となってしまいます。
例えば、私は現在体重45kg。栄養管理アプリ「あすけん」によると、適切なエネルギー量は1,263〜1,663kcalです。ザバス12回分だと、たんぱく質は240gとなります。半量に減らしても120gあるので、これは相当内臓に負担がかかるのではないでしょうか。
1回分 | ✕12回 | |
---|---|---|
エネルギー | 108kcal | 1,296kcal |
たんぱく質 | 20g | 240g |
エレンタール3本でも39.4gのたんぱく質が、しかもアミノ酸という形で効率よく摂れるので、私はこっちで十分かなと思っています。
そして、ビタミンの量ですが、その種類によって多少の違いはあるものの、ザバスとエレンタールの含有量でそんなに差はないこともわかりました。
栄養剤、プロテイン、サプリをPFCバランスで比較
エレンタールやラコールのような栄養剤とプロテイン、サプリは何が違うのか、ずっとモヤモヤしていたのですが、最近こういうことなんだ!と気が付きました。
たんぱく質(P) | 脂質(F) | 炭水化物(C) | その他の栄養素 | |
---|---|---|---|---|
栄養剤 | バランスよく | |||
プロテイン | 大量 | – | – | – |
サプリ | – | – | – | メイン |
過不足なく様々な栄養が含まれていて、生きていくために必要なカロリーで設計されているのが栄養剤。ビタミン剤のように特定の栄養素だけ商品化したのがサプリ。たんぱく質に特化したサプリがプロテイン。
痩せている人は栄養剤。太りたくない人はプロテインやサプリといった棲み分けでしょうか。
目的にあわせて、上手に選びたいですね。